鳳仙花の日記

ゆるゆるとした身辺雑記

030829 訪問者

 布団カバーを洗った。洗うのはいいがまた被せるのが大仕事。洗濯物を畳むとか仕舞うとか、億劫だと思ってしまう私は無精者だ。
 汗だくで作業をしながら視線を上げると、見慣れない訪問者。庭に人がいる。ワンピースを着た年配のご婦人。インターフォンを鳴らさないので、宗教の勧誘ではなさそう。道と間違えて入って来たのなら気付いて出て行くだろうと思っていたが中々出て行かない。
 手ぶらなので近所の人か、母の友人とか?と声を掛けてみたら、慌てて名乗られた。聞いて驚き。知っている人だった。もう少し若い頃のお化粧した顔しか知らないのですぐには分からなかったが、確かにそのようだ。
 お年を召しても綺麗だし変わらず品が良い。……でも何だか違和感。受け答えがちょっと怪しいような、失礼ながら母と同じような感じ。この人は何歳だったかな、八十くらいなら無理もないかなどと考える。
 スッピンだし外に出られる格好ではないので、大きな通りが見える所までと送って行った。

 別れて家に戻ってからご婦人の様子が急に心配になったので、お節介だが追いかける事にした。大分汗をかいていたからハンカチと冷たいお茶を持って。
 通りに出てみたら、渡る必要がない反対側に渡っていた。車も少なくないのに、良く渡ったものだとゾッとする。これは、1人では帰れないだろうと確信。見に来て良かった。
 しかし、考え無しに来てはみたものの、どうしようかと。お茶を飲んでもらいながら私は困惑しているのだが、ご本人は「こっちは違うかしら」などと仰っしゃいながら歩き出す。中々健脚だ。
 家は分かるのでこのまま送って行くべきか、しかし暑い中をこれ以上歩かせて良いものか。警察に連絡するのが正解だと思い付いたが、慌てていてスマホを置いて来てしまった。近くの家に頼んで電話して貰おうか……。
 迷っているとご婦人の名前を呼ぶ声がした。車で捜していた家の人が見つけてくれたのだ。行き違いにならずに引き渡す事が出来て心底ほっとした。
 母は歩き回るタイプではなかったから、こういう心配はした事は無かったが、中々、いや、かなり大変だ。たまに会った他人だから穏やかに接する事が出来るけれど、母にはな、無理だろうなあ。見つけたら叱っちゃうな、きっと。

 家に戻ったら、慌てていて鍵を掛けていなかった。……自分がしっかりしなくては。慌てていても戸締まりと、スマホと財布は忘れるべからず。