芒種の次候。昔の人は草が腐ってホタルに生まれ変わると信じていたとか。ホタル鑑賞のイベントなどがあちこちで催される季節になったなあ。
草は腐ってホタルになるが、私は腐って何になるのか。
ちょっと腐っている。
「一人減っても支障は無いか」と尋ねられた。異動ではなく、諸々の事情で辞めていただくのだと。私は残る側ではあるけれど、気分は塞ぐ。
長く一緒に働いて来て、友人のような人だもの。本人の意向なら是非もないが、辞めて欲しいと思えるワケがない。
「業務は支障が出ないように努めるが、個人的な感情としては辞めて欲しくない」と言うのが精一杯。
私が給料を払っているワケではないので、辞めさせませんとは言えないし。駄々をこねたら撤回されるモノでもないし。説明を聞いているとやむを得ないと思えないでもない。
……でもなあ。
本人は聞かされているんだろうか。
本人が知らない事を知っているなら〈隠し事〉をしているようなもので、気分が良いものではない。〈仕事仲間〉から〈辞めさせる側〉に引き込まれたようで、〈裏切者〉になったようで、不愉快。凄く嫌な気分。
腐っている。
虞美人草。進退窮まった覇王が行く末を案じた虞美人。王の足手まといになるまいと虞美人が自決した血のあとに咲いたと言う花。